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少し寒さが和らぐ中、「3.11を持ち寄る会」を菊地旅館さんの食堂スペースで行いました。オンライン含め4名の少人数ではありましたが、家の集まりのような雰囲気の中スタート。


菊地旅館のあたりは浸水3mほど津波がきました。チリ津波地震を経験していた菊地さんは、津波警報が鳴っても「本当に津波が来るのかな」と軽い気持ちで日和山に逃げました。山で津波の被害を目の当たりにしましたが、夜が近づくと旅館がきになり街へ戻ると高台に逃げなかった近所の方が建物の上から声をかけたり、近所の方で被害があった方がいました。その時は情報もあまりはいらず、何も考えられないような夢中な状態で、ご近所で協力してご遺体を移動したり、避難所に物資を届けたりしていたそうです。普段は挨拶をするくらいの間柄が、震災後のやりとりがきっかけに変わっていきます。


菊地さんが避難した日和山から戻った時、ここの屋上に避難していた方から声がかかった


普段の会話でも冗談が織り込まれるのが菊地さん。今日もその調子でしたが、冗談と冗談の隙間に表われるちょっとした場面や意見からは、当時の生活に「悲しいこと」「辛いこと」「不便なこと」「汚いこと」が共存していたことがよくわかりました。

避難先の公民館で夜な夜な男の人たちで集まった「クラブ公民館」と名付けたお酒の会には、気持ち的にも本当に助けられたこと。有名人が石巻に訪れてくれた時の高揚感。住宅施設がない時期のトイレやお風呂のやりくり(管理の難しさ)。震災後のいろいろなお客さんのお話や反応など…。良いところも悪いところも含めた、人間らしさを、ありのままに思い出されていたようでした。


同じ石巻に住んでいたAmmyちゃんの場合、自宅は被災しましたが、その瞬間には自宅にいなかったため、「被災者だが、当日は波をみていない中途半端な立場に感じた」「震災後必死に生きてきたらこんなに時間が立ってしまっていた」というフレーズが印象的でした。オンラインで九州から参加してくださった方は、Ammyさんの震災時に更新をしているブログのテキストを読んだことがきっかけで、この会に参加してくださっていましたが、今でも思い返して読みたくなるような、考えのヒントになるとの声も。(Ammyちゃんのブログ:


菊地さんが話しの中で、「つながりが大事だね」「一人ではなにもできない」というフレーズを何度もおっしゃっていて、それは震災後の身の回りの人、近所の人とやりくりした経験や、それ以降のつながり、また多様なお客さんとの実感というのも印象的でした。

たまたま同じ時間に、明確な目的はないままでスタートした会でしたが、タイトル「3.11を持ち寄る会」にあるように様々な視点や感覚が蘇ったような時間となりました。複数人で集まることで、考えるきっかけになったり、想像できることが増える。来週むかえる3.11や、ウクライナ侵攻も同時侵攻で起こっている中で、「誰かと話せること」の尊さが響きました。


菊地旅館までの通り。この左右にも当時様々な光景があったことも思い出されていました


旅館の入り口には震災後に送られた石巻の絵が飾られています

この廊下の境目(木のつなぎ目)からが、震災後に増築した新館。建物にも残る震災前後


ある人が、震災の時、当事者とそうではない(と感じてしまう)人の間にあるモヤモヤ感は、今ウクライナで起こっていることに対して感じる気持ちに似ているという風に話していました。コロナもありささやかな開催ではありましたが、この時期にこういった時間を持てて良かったです。菊地旅館さん、Ammyさん、参加者の皆様ありがとうございました。




“地理人”をご存知ですか?一言でいうと、地図博士、地図マニア、全国の物知り、散策名人…?子供の頃からの「空想の地図を書いてみること」を原点に、地図にまつわる様々な実践をしてきた方で、著書からワークショップや講演に留まらず、時には表現として紹介されたり、不思議なモノ開発のお仕事になることも…。そんな、存在自体がユニークな地理人の活動や、独自の視点、不思議な地図感覚を伺います。

もちろん、地理人からみた石巻像や、参加者のみなさんが感じる身の回りの街、震災後変化し続けているこの地域についても考えます。なかなかお出かけしづらい時だからこそ、オンラインの世界の活用や妄想センスをつかみ、想像と現実を行き来する楽しみを探ります。


日程:2022年3月27日(日)17:00より

オンライン開催。ZOOMでの参加となります。

参加無料。事前申し込み制。申し込みはメールかSNSのメッセージにてお申し込みください。(メール:shimura@reborn-art-fes.jp)

参考:地理人公式HP https://www.chirijin.com


今 和 泉 隆 行 (Imaizumi Takayuki)

7歳の頃から空想地図(実在しない都市の地図)を描く空想地図作家。大学生時代に47都道府県300都市を回って全国の土地勘をつけ、地図デザイン、テレビドラマの地理監修・地図制作にも携わる他、地図を通じた人の営みを読み解き、新たな都市の見方、伝え方作りを実践している。空想地図は現代美術作品として、各地の美術館にも出展。青森県立美術館、島根県立石見美術館、静岡県立美術館「めがねと旅する美術展」(2018年)、東京都現代美術館「ひろがる地図」(2019年)。主な著書に「みんなの空想地図」(2013年)、「『地図感覚』から都市を読み解く—新しい地図の読み方」(2019年)、「どんなに方向オンチでも地図が読めるようになる本」(2019年)。



今震災前後の地図を見比べながら、今らしい町のドライブルートを計画する

その土地の人の特徴を想像しながら、スーパーをウロウロ

同じチェーン店でも出る土地柄

お惣菜のサイズや、値引きのタイミングからわかる住民像



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